【検証】風通しの良い住まいをつくるには?

マイホームを購入する際、「明るい家が良い」と日当たりを気にする方は非常に多いですね。確かに、明るくて日当たりが豊富な家は快適で過ごしやすい印象があります。理想の住まいとして「明るい家」を重視することは理解できますが、快適性を考慮すると、「風通し」も実は同じくらい重要な要素です。

風通しが悪いと、「湿気がたまる」「空気の流れが滞る」「洗濯物がなかなか乾かない」「夏には暑さがこもる」などのデメリットが生じてしまいます。良い日当たりがあっても、居住環境は十分とは言えませんね。

窓を多く設置すれば風通しが改善されるのでしょうか?実は、それだけでは一概に言えません。

風通しの向上には、風の特性や空気の流れを理解することが不可欠です。これらを考慮した上で、風通しの良い理想の住まいに近づけるような工夫が求められます。効果的な間取りや風通しを向上させる工夫について、具体的に見ていきましょう。

空気の流れを理解しよう

実は、多くの窓を設置すれば必ずしも風が効果的に取り込まれるとは限りません。

風は自然の要素であり、どの方向から吹いてくるかや、どのように流れるかといった風の特性を理解することが重要です。

暖かい空気は上昇する

室内の空気は循環しますが、暖房された空気は主に室内の上部に集まる傾向があります。冬季の一戸建て住宅では、「2階から1階に下りると寒い」という状況がよく見られます。これは、暖かい空気が上昇することが原因です。

同様に、夏季には暖かい空気が2階にこもり、「寝室が暑い」といった状態が発生することがあります。

このような暖かい空気の上昇特性を理解すると、空気の流れを考慮した空間設計が効果的です。

季節や地域によって異なる風向き

春や夏、秋には、窓から吹く自然の風が気持ちよく感じられます。ただし、季節によって風向きが異なります。

通常、冬以外の季節は南から吹く暖かい南風が一般的ですが、「冬になると北風に変わる」といった風向きの変化があります。

風の吹き方や方向は、地域によっても異なります。海沿いでは海風が吹き、山間の地域では山風が吹きおろします。同じ地域でも、地勢によって風向きが変わることがあります。

北側と南側に窓があると、どの季節でも良好な通風が期待でき、自然の風が心地よく流れる家になります。

地域の風向きを把握し、その流れを上手に利用する窓の配置が、家づくりにおいて重要なポイントとなります。

風通しを良くするための2大要素とは?

自然の風が爽やかに吹き抜ける住まいは、心地よい暮らしを演出しますね。家全体に広がる風通しは、穏やかな自然の風を感じながら快適な生活を提供してくれます。

この風通しの良い住まいを構成する重要な要素の一つは、窓の配置です。適切な窓の配置があれば、家中に自然の風が心地よく流れ込みます。夏には窓を開けて自然の風を取り入れることで、省エネ効果も期待できます。

さらに、もう一つ大切な要素は換気扇です。一般的に「風通し」と言うと窓から室内に流れ込む自然の風を思い浮かべがちですが、住宅密集地やマンションなどでは窓の数が制限されることがあります。しかし、換気扇を適切に配置することで、窓が少なくても空気が循環し、流れが向上します。これにより、快適な住環境を実現できるのです。

自然風を取り入れた快適な生活

掃除機をかけたり調理をしたりすると、室内には汚れた空気や不快な臭いがたまりますね。なんだか空気が悪いな…と感じたことはありませんか?汚れた空気の中で生活すると、体調が崩れやすくなります。

汚れた空気や臭いから体調がすぐれないと感じたときには、窓を開けて新鮮な自然の風を取り入れ、古い空気を外に放出してみましょう。室内に新しい風を取り入れることで、空気が循環し、建物自体がカビなどで損傷するのを防ぐことにもつながります。

現代では換気システムが発展していますが、意識的に風を取り入れることで、エアコンの使用量を抑えて節約することも可能です。また、夏の暑い日には留守中にたまった熱気を外に逃がすこともできます。

自然の風を感じることができる家は、非常に居心地が良く、快適です。新鮮な空気を味わうために、風通しの良い生活に意識を向けてみましょう。

室内の空気を循環させる

限られた土地に一戸建てを建てる場合、隣家との距離が近いことがあります。自然の風を取り入れるためには多くの窓を設置するのが理想的ですが、窓の配置には悩まされることもあります。

同様に、マンションの場合も構造上、一つの部屋に窓が限られていることがあります。その際に役立つのが換気扇です。

換気扇は外の空気を取り込み、機械的に室内の空気を循環させるシステムです。換気扇は通常、キッチンやトイレに設置されていると思われがちですが、最近の戸建住宅では、建築基準法によって24時間換気システムの導入が求められています。

窓の配置が難しい場合、換気扇を導入することも考慮してみましょう。これは、空気の新鮮な循環を確保し、快適な居住空間を維持する助けとなります。

意外と重要? 窓の種類とは

窓にもさまざまな種類がありますが、その選択は部屋の配置や構造、コスト、特長などによって検討されます。

引き違い窓

引き違い窓は、日本の住宅でよく見られる窓の一つで、左右に開閉することができます。左右の開き方を調節でき、コストも手ごろで、荷物の出し入れもしやすいのが魅力です。

縦すべり窓(縦すべり出し窓)

縦すべり窓は、窓を縦に動かして外側にスライドさせて開閉するスタイルです。縦を中心にドアのように開けることができ、開口部が直角になるため、外側のガラス面のお手入れも簡単です。細身の縦すべり窓は防犯の面でも優れているメリットがあります。

横すべり窓(横すべり出し窓)

横すべり窓は、窓の上部を軸にして開閉するスタイルです。下部が外側にスライドして開く仕組みで、窓が開いていても雨が室内に入りにくいのが特徴です。光と風を効果的に取り込むことができ、急な雨でも対処しやすいのが利点です。

風通しの良い理想の間取りとは?

エアコンが普及した現代では、「自然の風を取り入れなくても、室内の空気はきれいに保たれるだろう」と思う方もいるかもしれません。しかし、古い湿気のある空気が室内に溜まると、カビやダニが発生するリスクが高まります。

そこで、自然の新鮮な空気を適度に取り入れ、空気を循環させる風通しの良い間取りが重要です。

風が下から入り、上から抜ける家

窓から自然の風が入っても、夏など気温が高いと上部に暖かい空気が溜まります。そのため、低い位置から風が入り、高い位置から抜ける配置にすると、空気の流れが良くなります。

特に一戸建ての場合、吹き抜け部分を設けると1階から2階への空気の流れが生まれ、風通しの良い家になります。ただし、2階に空気が溜まらないように、1階の窓を開けたときには2階の窓からも風が抜けるように工夫することも大切です。

部屋に2つの窓を設置する

風通しを考えると、部屋に2つの窓を設置すると効果的です。室内に2つの窓があれば、風が自然に抜けて風通しの良い家になります。ただし、ひとつの部屋に2つの窓を設置するのは難しいこともあります。部屋に窓が1つしかない場合は、出入り口のドアを開けておくと風通しが良くなります。

防犯とプライバシーを考えて窓の設置を考えよう

風向きに合わせて多くの窓を設置すれば風通しの良い家になりそうですが、実際は窓の設置は簡単ではありません。防犯やプライバシーの問題が懸念されます。

まず、空き巣被害の可能性があります。空き巣被害の多くは窓からの侵入によるもので、風通しを良くするために窓を増やすと、空き巣の被害リスクが高まります。一戸建ての場合、高い塀の近くに窓を設置すると死角となり、窓が破られて侵入される可能性もあります。死角となる方向には窓を設置しないようにするか、二重窓や小さな窓、外側に面格子を設置するなどの防犯対策が有効です。

また、プライバシーの確保も考慮が必要です。窓をどこにでも設置できるわけではなく、隣家との距離が離れている場合は自由に窓の設置ができるかもしれません。逆に隣家との距離が近い場合や人通りの多い通りに窓が面している場合は、視線が気になることがあります。窓を設置する際は、窓の配置を工夫し、部屋の高い位置や視線を考慮してカーテンを使用するなどの対策をすると良いでしょう。

風通しを考えた際の注意点とは?

風通しを向上させるためには、窓の設置や間取りの工夫が効果的ですが、風通しだけを過度に重視せず、災害時や家具配置にも注意を払うことが重要です。風通しを考慮する際のポイントについて注意深く検討しましょう。

免震性・耐震性を考慮した窓の設置

風通しが良くなるイメージがある窓ですが、窓を設置する際には免震性や耐震性を確実に考慮する必要があります。住宅の壁には建物の耐久性向上のための補強材が組み込まれています。そのため、無闇に窓を増やすことは、家の耐震性を低くする原因となります。

大きな窓を設置したくても、ガラス面が広く重いため、地震や火災、強風などの災害時に割れると危険が伴います。風通しを向上させる一方で、災害時に注意が必要なデメリットもあることを覚えておくべきです。

換気扇の位置にも注意

窓からの空気流入をサポートするために、補助的な意味で換気扇を設置することもあります。また、窓が開けられない日や雨の日などにも役立ち、室内の空気を新鮮なものに入れ替えてくれます。

換気扇の位置も重要です。空気の流れと関係のない場所に換気扇を設置しても効果がありません。特に、窓からの空気が入りにくいキッチンやトイレ、浴室などの水回り周辺では、換気扇の働きが非常に重要です。臭いが広がりにくく、適切な位置に設置することが重要です。

暖かい空気は上昇する性質があるため、換気扇を部屋の高い位置に設置することがおすすめです。これにより、空気の循環がスムーズに行われ、室内の空気が効果的に入れ替えられます。ただし、換気扇から排出された空気が戻ってこないように、窓と換気扇の位置には十分な配慮が必要です。

収納と壁の確保を考慮

風通しを良くするために窓を多く設置する場合、壁のスペースが減少することに留意する必要があります。通常、家具は壁際に配置されます。壁が少なくなると、「家具の配置場所に悩んでいる…」という課題が発生する可能性があります。

窓の前に家具を配置すると、窓を設けた意味が失われてしまうこともあります。窓の設置や配置を検討する際には、収納スペースや家具の設置を適切に考え、なるべく壁を確保した住まいにすることが重要です。

まとめ

日常生活で料理や掃除などをすると、気づかないうちに室内の空気が汚れていきます。湿度が高いとカビの発生も心配です。そのため、新鮮な空気と古い空気を入れ替えるために、窓を開けて換気することは非常に重要です。こもったニオイも外に排出して、清潔な空間を保ちましょう。

風通しの良い間取りを考える際には、単に窓を多く設置するだけでは不十分です。「空気の通り道が確保されているかどうか」や、防犯の面で安全性が高いか、プライベートな空間が確保されているかなど、様々な視点から検討することが鍵となります。

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