住宅ローンの借り換えのメリット・デメリットとは?

住宅ローンの金利は量的緩和やマイナス金利政策を受けて現在過去最低水準になっています。このような金利情勢で、住宅ローンの借り換えを考える人も多いのではないでしょうか。この記事では、住宅ローンの借り換えを行うメリットとデメリット、そして失敗しないための判断方法についてお伝えします。

そもそも住宅ローンの借り換えとは?

住宅ローンの借り換えとは、現在借りているローンを一括で返済するために、新たにローンを借り入れることを言います。すでに借りているローンよりも条件の良い金融機関が見つかれば、借り換えを行うことで支払い負担の軽減やリスク対策に繋がる可能性があります。

ローンの支払総額を減らせる

借り換えにより金利が下がる場合、利息の負担が減るためローンの総返済額を軽減できます。

月々の支払い負担額が減る

借り換えによって毎月の返済負担を減らすことも可能です。将来手元に多くお金を残せるだけでなく、毎月の支出を減らして今の家計の負担も軽減できます。

返済期間を短くすることができる 

新たに借り入れるローンを現在よりも短い返済期間で借りることができます。現在の家計にゆとりがあるのなら、返済期間を短縮して借り換えることは総返済額を抑えるために有効な方法です。金利負担の総額は返済期間が短ければ短いほど小さくなりますので、期間を短くすれば更に金利の負担を減らせるでしょう。

固定金利への切り替えで金利上昇リスクへ対応できる 

住宅ローンには、毎月の返済額がそのときの金利の情勢に応じて変動する「変動金利タイプ」と、借り入れ当時の金利で固定されている「固定金利タイプ」があります。一般的に、変動金利タイプは固定金利タイプよりも金利が低いという特徴があり、変動金利で借りた方が毎月の返済額が安くなります。しかし、変動金利は世の中の金利情勢が変化した場合には金利負担が増えるため、毎月の返済額や完済までの返済総額が増える可能性があります。固定金利タイプのローンに借り換えることで、金利上昇による返済額の増加リスクを抑えることができます。

団体信用生命保険の見直しができる  

住宅ローンを組む際には、フラット35等一部のローンを除いては団体信用生命保険に加入することが原則として必須になります。団体信用生命保険とは、ローンを返済している期間に返済者が亡くなった場合にローンの返済を免除するための生命保険のことです。この団体信用生命保険は、以前は死亡・高度障害状態に該当した場合に返済を免除するという内容のものが一般的で、金利を上乗せすることで任意でがん等の三大疾病で所定の状態に該当した場合にも対応できるというものでした。ただ最近では、所定のがんと診断された場合の保障や高度障害状態よりも幅広い障害状態まで対応できる保障がはじめからセットされています。また、金利の上乗せで得られる保障も三大疾病から更に拡大されており、ケガや病気全般の就業不能状態に対応できる保障を付帯できる場合もあります。このように、金利が変わらずとも団体信用生命保険の保障範囲を強化することでメリットを得られる場合もあります。ローンの保障を強化した分は、契約している生命保険の保障内容を見直して家計の節約に繋げるのもよいでしょう。

住宅ローンの借り換えのデメリットとは?

借り換えによるデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

手数料などの諸費用がかかる

住宅ローンの借り換えには、大きく分けて「金融機関に支払う費用」と「抵当権変更に関わる費用」があります。金融機関に支払う費用には、事務手数料、保証料、一括返済にかかる費用があります。抵当権変更に関わる費用には、登録免許税、印紙税、司法書士への報酬等があげられます。このうち、特に大きな費用は、金融機関に支払う事務手数料と保証料です。これらの費用が総額でいくら必要になり、それらの費用の分も上乗せして借り換えた場合にどの程度のメリットが出るのかを計算してみる必要があります。

契約・審査を再度行わなければならない

借り換えの場合には再度契約、審査を行う必要があります。事前審査や本審査、抵当権設定に必要な資料をそろえ、旧借入先に融資実行のタイミングを連絡するなどのわずらわしい手間も必要になってきます。そして、現在のお仕事や収入、転職歴などによって審査に通らないことも考えられます。また、団体信用生命保険にも再度加入することになりますが、体況によって団体信用生命保険に加入ができないために融資を受けられない、もしくは保障範囲が狭くなるなど、現在よりも条件が悪くなる可能性もあります。

住宅ローン控除額が減る可能性も

住宅ローンで住宅を取得された場合、住宅ローン控除という税金のメリットを受けることができます。購入時期や住宅の性能によって控除を受けられる期間や上限に差がありますが、基本的には入居した年から10年間または13年間、年末のローンの残高の1%が支払う税金から控除されます。つまり、年末の残高が3,000万円あったならば1%の30万円税金が安くなることになります。しかし、住宅ローンの借り換え時には、借り入れ金額や返済期間の設定によって住宅ローン控除のメリットが薄れる場合もあります。また、借り換え後に10年以上の返済期間が無い場合には控除を受けられません。

家計への負担が大きくなることがある

おもに固定金利タイプのローンに借り換えた場合に起きることですが、借り換えによって金利の負担が増えて家計への負担が大きくなる場合もあります。また、借り換えによって返済期間が短くなるのはいいのですが、短縮されたことで月々の返済額が増えることもあります。

条件次第では思ったような効果が出ないことも

借り換え先の条件次第では期待していたような金利の節約効果を得られない場合もあります。また、さほど大きな効果が得られずに借り換えの手間だけ掛かってしまうということもあります。

借り換えで損をしないために

では、借り換えするべきかどうか、どのように判断すればよいのでしょうか?

住宅ローンの残年数

金利はローン完済までの残りの年数が短いほど負担が少なく、長いほど大きくなります。そのため、ローンの借り換えは残年数が長いほど効果があります。住宅ローンの残年数は、一般的には10年以上あるとメリットが出やすいと言われています。残りの年数が短い場合には、借り換えをしてもメリットが薄くなる、諸費用の分負担が大きくなってしまう可能性もあるため注意してください。

住宅ローン残高

住宅ローンの残高が多ければ金利負担も大きく、少なければ金利負担も少なくなります。そのため、ローンの残高が多ければ多いほど借り換えのメリットが出やすくなります。一般的には1,000万円以上の残高があると良いとされています。

借り換え前後の金利差

どの程度の金利差があればメリットが出るかの目安は、1%以上の金利差とされています。金利差が低ければ諸費用分が逆に負担となる可能性もあります。

まとめ

借り換えにはメリット・デメリットがあるので、何を目的として、どの程度のメリットを得られるのかを事前に試算した上で借り換えをしましょう。また、借り換えする以外にも、現在借り入れされている金融機関に条件変更を依頼することで、金利の引き下げや固定金利期間の延長などを行うこともできます。この場合、借り換えのような大きな諸費用は不要なため、条件変更を申し出る方がよい場合もあります。借り換え以外の選択肢も含め、総合的な視点からご自身に合ったベストな方法を選択することが大切です。