今回は、戸建て住宅における防音の必要性についてご紹介していきたいと思います。近隣との騒音トラブルに関しては、マンションやアパートなど、各家庭の生活空間が非常に近いことから発生するもので、家がそれぞれ独立して存在している戸建て住宅に関しては、騒音の心配はあまりない…と考えている方が多いです。
そこでこの記事では、これから戸建て住宅の購入を検討している方に向けて、設計時に考えておきたい戸建ての防音性についてご紹介します。
一戸建てだから騒音は気にしなくていい?
地方の戸建て住宅などであれば、庭付き一戸建てというのが当たり前ですし、家と家の距離がそれなりに離れていることから、生活音を原因とした騒音トラブルなどが発生するようなことはほとんどありません。また、ピアノなどに関しても、昼間であれば、窓を全開で練習させていたとしても、苦情が来るようなこともあまりなく、防音工事をしようかなと考える方自体が、かなり少ないように思えます。
こう聞くと「やっぱり戸建ては防音の必要性が無いのだ!」と考えてしまうのでしょうが、実は都市部の戸建て住宅になると、全く話が変わってきてしまうのです。というのも、大都市圏であれば、土地の問題や家の価格の問題があり、狭い土地に三階建ての家を建てるのが一般的になっています。そして、お隣の家との距離が数十センチしか離れていない…なんてことが当たり前になっていることから、マンションと似たような騒音問題が増えていると言われているのです。
戸建てで音が気になる原因とは?
マンションなどの集合住宅でも同じですが、日常生活を進めるうえで、音が気になってしまう…という場合でも、さまざまな原因が考えられます。大きく分けると「家の中の音が原因」というケースと「家の外が原因」のケース2つに分ける事ができるのですが、ここでは、それぞれの音が気になってしまう原因について簡単にご紹介しておきます。
室内で音が気になる時の原因は?
室内で発生する音が気になる…という場合の原因です。これはマンションなどでも同じですが、ご家族が生活するうえで生じさせてしまう音が、騒音となって気になってしまう…というものです。
例えば、子供部屋などは2階に配置することが多いのですが、リビングの真上を子供部屋にしてしまうと、子供が騒いでしまった時の足音などがリビングに響いてしまい、「うるさいな…」と感じてしまうことになります。また、最近では開放感のある吹き抜けが人気となっており、2階部分からリビングが見渡せるような間取りになっている家も多いです。こういった場合、音楽を聴いている、テレビを見ているなんて場合、その音が両方に伝わってしまい、騒音に感じてしまうことになるわけです。
他にも、洗濯機や掃除機の音、料理中の音などが気になるという声も多くなっています。これは、新型コロナウイルスの影響で、テレワークがスタートしたものの、家で仕事をすることを想定していなかった…なんて人が、家族が生じさせる音が気になる…なんて声を上げているようです。
戸建て住宅を建てる場合には、間取りなどに関しても、防音のことをしっかりと考えて配置を決めなければいけません。
外からの騒音について
戸建て住宅に関しても、集合住宅と同じく、外からの音に悩まされてしまう…なんてことも多いです。例えば、幹線道路沿い、線路沿いなどと言った住宅であれば、家の前を通る自動車の走行音や電車の音に悩まされてしまうことが考えられます。他にも、近くに公園や学校があるなんて立地であれば、お子様の声や学校のチャイムの音が聞こえてきて気になってしまう…なんてことも考えられます。
さらに都市部の住宅になると、お隣の家との距離が非常に近く、隣の家の生活音が気になってしまう…なんてことも考えられます。例えば、自宅の寝室の真横がお隣のトイレだった…なんて場合、夜中に水を流す音が聞こえてきて眠れなくなってしまう…なんてことも考えられます。他にも、室内で犬を飼っていて、そのペットの足音や鳴き声が騒音に感じてしまうなど、戸建て住宅では考えられなかったような騒音問題が急増していると言われているのです。
こういった音の問題は、一度気になってしまうと、余計に耳障りになってしまいますの、家の中にいてストレスを感じてしまう…なんて最悪なことになります。家を建てる前であれば、こういった騒音問題のことも考えて、きちんと防音対策を行っておくべきです。既に家が建っているのであれば、専門業者に相談し、防音工事を検討してみてはいかがでしょうか。
建てる前に考えておきたい戸建ての防音対策
近年では、戸建住宅だからと言って「騒音の心配はない!」とは言えないような状況になっています。マンションと異なり、戸建てであれば、自分の理想の建物を一から作る事ができるという点がメリットですので、家の設計時から防音性のことも考えて建てておくことがオススメです。
外壁について
壁は、分厚ければ分厚いほど音を通しにくくなります。したがって、タイルやコンクリート、サイディングにすると遮音性が高まると覚えておきましょう。木材や樹脂系サイディングは、独特な外観の建物が実現しますが、遮音性が低い材質ですので、防音性が弱点になってしまいます。
内壁について
住宅の壁には、断熱材が設置されています。そしてこの断熱材と呼ばれる素材は、吸音効果も持っており、壁の防音性を高めてくれるものなのです。防音性を高めたいのであれば、できるだけ隙間なく断熱材を施工してもらうようにしましょう。
なお、内壁の仕上げ材の下に石膏ボードや遮音シート貼ったり、壁の中に空気層を作ることで、壁の防音性を高めることができます。
屋根について
住宅の屋根は、防音性にあまり関係ないと考えている方が多いですが、さまざまな屋根材が登場した現在では、どの屋根材を採用するのかによって防音性が大きく変わります。
基本的に、分厚くて重量のある瓦が最も防音性が高く、スレートや金属屋根(ガルバリウム鋼板)に関しては、防音性が低いと言われています。しかし、屋根の重量は、建物の耐震性にも関わりますので、可能な限り軽量な屋根材が選択される傾向にあります。屋根材としてスレートや金属屋根を採用する場合、屋根裏に断熱材を設置するなど、別途防音対策を検討すべきと考えておきましょう。
窓について
自動車の走行音や、近所の話し声などは、窓の防音性の低さが原因となっている場合があります。外壁をどれだけ分厚くしても、窓の防音性が低ければそこから音が侵入してしまいますので、窓の防音性を高めることにも注目しましょう。
一昔前までは、アルミサッシに単板ガラスという組み合わせが安価で人気だったのですが、この組み合わせは小さな隙間が生じてしまい、防音性が低いのが弱点です。防音性を考慮した場合、サッシはアルミ樹脂複合サッシや寒冷地にも使用される樹脂サッシがオススメで、ガラスはペアガラス以上を採用することや防音ガラスと呼ばれるようなタイプを選択するのがオススメです。
間取りについて
間取りは、その家での生活利便性を重視して設計すべきなのは忘れてはいけません。しかし、防音のことを完全に無視してしまうと、実際に住み始めてからストレスに感じるようになる危険があります。
例えば、リビングの真上に子供部屋を配置する、寝室の真横が隣家のトイレやお風呂場になってしまう…なんて間取りにすると、日常生活の中でいろいろな音に悩まされてします恐れがあるのです。生活動線を考慮するのはもちろん、騒音問題が発生しないか?という視点も持って間取りを考えるのがオススメです。
まとめ
近年増加していると言われている戸建住宅での騒音問題について、実際にどのようなことが原因で騒音問題に発展しているのかについて紹介してきました。この記事で紹介したように、都市部などでは戸建て住宅ごとの距離が非常に近づいていることから、隣家の生活音が原因となる騒音トラブルのリスクが増えていると言われています。
これに関しては、戸建ての距離が近くなったのが最も大きな原因なのは間違いないと思うのですが、「戸建ては音の問題がない」と言った考えを多くの方が持ってしまっていることも大きいのだと思います。音は、距離が離れれば減退していきますし、「独立した建物」ということで騒音問題がないと考えてしまうのです。
しかしそのようなことはなく、戸建てでも騒音問題のリスクが増えていますので、この記事で紹介したような防音対策は考えておきましょう。